「給料は上がったのに、楽じゃない」感覚の正体
ここ数年、「賃上げ」という言葉が増えました。
ニュースでも、春闘のベアが話題になります。
たしかに、名目賃金は上がっています。
けれど、多くの人はこう感じています。
「給料は上がったはずなのに、苦しい。」
「手取りの感覚は、あまり変わっていない。」
このギャップの理由が、実質賃金です。
つまり、「物価を差し引いた後の給料」です。
名目は増えても、物価がもっと上がると。
実質では“目減り”してしまうのです。
データで見る「名目プラス、実質マイナス」
では、実際の数字も見ておきます。
最近の統計では、名目賃金はプラスです。
ベアも、過去最高水準という年が続きます。
一方で、実質賃金はマイナスです。
物価上昇に、給料が追いついていません。
ニュースでも「実質賃金◯か月連続マイナス」
といった見出しをよく目にしますよね。
つまり、表面上は給料アップの時代です。
しかし、中身は“ゆるやかな値下げ状態”です。
だからこそ、生活が楽になりにくいのです。
むしろ「前よりキツくなった」と感じます。
個人的には「給料だけ」を頼りにしづらい時代
ここから、少し個人的な意見です。
正直、会社の賃上げだけに期待するのは。
かなりリスクの高いスタンスだと感じます。
なぜなら、コントロールできないからです。
景気や会社の事情に、すべて左右されます。
さらに、手取りを削る要素も増えています。
社会保険料や税金の負担は重くなりました。
名目アップ → 税と保険でじわっと削られる。
物価高 → 実質ではさらに目減りしていく。
この二重三重のサンドイッチ状態です。
そりゃあ、しんどく感じて当然だと思います。
だからこそ、「給料一本勝負」は危険です。
感覚としては「一本足打法」に近いです。
じゃあ、会社員はどう動く?3つの現実的アクション
とはいえ、「じゃあどうするの?」ですよね。
ここからは、現実的な3ステップに絞ります。
①まず「実質」で見直す:家計のミニ棚卸し
最初の一歩は、状況の見える化です。
・手取りの推移(ここ数年のざっくり)
・固定費の額(家賃・通信・保険など)
・食費や日用品の平均額
ここを一度、書き出してみます。
ポイントは「実質」で見ることです。
名目ではなく、生活感ベースで見ます。
たとえば、数年前より。
・手取りは+1万円
・生活コストは+1万5千円
こういう構図なら、「苦しい」が普通です。
自分を責める話では、まったくありません。
そのうえで、まずは固定費から削ります。
通信費、サブスク、保険内容などを整理。
ここを整えるだけでも、かなり変わります。
実質賃金マイナス時代の“守り”の一歩です。
②「労働時間×時給」から、「スキル×単価」へ
次は、「稼ぎ方の軸」を少し動かします。
今の多くの仕事は「時間×時給」の発想です。
つまり、働いた時間で収入が決まります。
しかし、名目賃金が伸びても限界があります。
一人の時間は24時間から増えないからです。
そこで、意識を「スキル×単価」に寄せます。
たとえば、次のようなイメージです。
・本業で、専門性の高い業務を増やす
・その経験を、副業でサービス化する
・単価アップしやすい領域で学び直す
Webライター、デザイン、動画編集。
プログラミング、マーケ、SNS運用など。
こうしたスキルは、一度身につけると。
時間単価を上げやすい特徴があります。
名目賃金が大きく動かなくても。
スキル単価で「実質」を上げにいく発想です。
③副業で「第二の実質賃金」をつくる
最後は、副業の話です。
最近の調査では、副業平均月収は数万円。
中央値は3万円前後というデータもあります。
もちろん、いきなりそこは目指さなくてOKです。
まずは「月1万円」を一つの目安にします。
月1万円の副業収入。
これは、一見すると小さく見えます。
しかし、実質賃金マイナスの今。
この1万円が、かなり効いてきます。
・光熱費の一部をカバーできる
・物価高で増えた食費を緩和できる
・将来の投資資金に回すこともできる
月1万円 × 12か月 = 年12万円です。
3年で36万円という計算になります。
ここに本業の昇給が少し乗れば。
「なんとか踏ん張れるゾーン」に入ります。
個人的には、この“副業の1万円”こそ。
実質賃金マイナス時代のライフラインだと感じます。
まとめ「賃上げニュース」より、自分の“実質人生”を見る
名目賃金はたしかに上がっています。
企業も、賃上げに動いているのは事実です。
しかし、物価と負担増がそれを追い越します。
結果として、実質賃金はマイナスになります。
だからこそ、ニュースだけ見るとズレます。
「賃上げの恩恵、どこ行った?」となります。
このギャップを埋めるカギは、次の三つです。
政治や景気は、自分では動かせません。
しかし、自分のお金の流れは変えられます。
そして、自分の働き方も変えられます。
少なくとも、一部は自分の選択で動かせます。
名目の数字に振り回されるよりも。
「自分の実質人生」を軸に考えてみる。
この視点があれば、少しだけ楽になります。
そして、一歩ずつ、できることも見えてきます。
今日できる一歩は、小さくて大丈夫です。
スマホで支出を洗い出すことでもOKです。
その小さな一歩が、数年後の実質を変えます。
それが、賃上げニュースに飲まれない生き方です。


コメント