2027年に副業ルールが激変?労基法改正で会社員の副業はどう変わるのか
「2027年から副業ルールが変わるらしい」
最近そんな話を見かけて、不安になってない?
実は今、日本の「労働基準法(労基法)」を40年ぶりレベルで大きく変えようという動きが進んでいて、その中でも副業・兼業に関わる“労働時間の通算ルール”が見直される方向で議論が進んでいます。
ポイントはここ👇
この記事では、
を、会社員目線・副業目線でわかりやすく整理していきます。
※この記事は、2025年11月時点で公表されている報告書・解説記事をもとにまとめています。
法案はまだ国会で成立しておらず、具体的な内容は今後変わる可能性がある点は必ず押さえておいてください。
まず今のルールを整理しよう|「労働時間通算」ってなに?
副業まわりの話でよく出てくるのが、「労働時間の通算」という考え方です。
現行ルールでは「会社が違っても時間を合算」するのが原則
今の労基法では、労働時間は事業場が違っても通算して考えるというルールがあります(労基法38条)。
ざっくりいうと、
みたいな場合、A社+B社で「1日11時間働いた」とみなされる、というイメージです。
このとき理屈上は、
をちゃんと考えないといけない、という建付けになっています。
このルールが「副業を許可したくない」原因になっていた
ここで問題なのが、実務がめちゃくちゃややこしいという点。
この「労働時間通算+残業代計算」の負担が重すぎて、
「だったらもう副業禁止でいいや…」
となっている会社が多い、という指摘が前からありました。
つまり、働く側だけじゃなく、企業側にとっても“副業を認めにくい仕組み”だったわけです。
2027年の労基法改正で何が変わる?ざっくり3つのポイント
ここから、2027年に向けて議論されている内容を整理していきます。
① 副業・兼業の「割増賃金用の通算ルール」を緩める方向
厚労省の「労働基準関係法制研究会」が2025年1月に出した報告書では、
副業・兼業における労働時間通算制度を抜本的に見直す方向性が示されています。
その解説として、
- 副業・兼業者の割増賃金(残業代)を計算するための労働時間通算ルールについて
- 「適用しない方向」で検討されている
とまとめる記事が複数出ています。
つまり、
- 残業代の計算だけについては、
- 「会社Aは会社Aで」「会社Bは会社Bで」
- それぞれの労働時間を基準に判断する方向
にシフトさせるイメージです。
💡イメージ
今:A社+B社の合計で「残業時間」を判断しないといけない
改正後イメージ:A社はA社で8時間を超えた分だけを見ればOK(副業先Bの分は残業代計算に絡ませない)
この変更が実現すると、
- 企業側は「他社の労働時間まで細かく把握して残業代計算する」必要が薄くなる
- 副業を認めるハードルがグッと下がる
というのが大きなポイントです。
② でも「健康管理のための時間通算」は残り続ける
一方で、「働きすぎて体を壊すリスク」はむしろ重く見られています。
各種解説でも、
というスタンスが示されています。
つまり、
という方向感です。
この流れに合わせて、
などもセットで議論されています。
③ スケジュール感|2026年法案化→2027年4月施行のイメージ
複数の専門サイトでは、今回の改正について
- 2026年に法案化
- 2027年4月から施行予定
といったスケジュール感で解説されています。
ただし、これはあくまで現時点の見込みであって、
労働政策審議会での議論国会での審議を経て内容が変わる可能性は十分あります。
なので、
「2027年に絶対こうなる!」
というよりは、
「今こんな方向で準備が進んでいる」
という“方向性”として理解しておくのが大事です。
会社員の副業はどう変わる?3つの変化ポイント
じゃあ、私たち会社員から見て何が変わりそうかを、シンプルに3つにまとめます。
① 企業が「副業を認めやすく」なる可能性が高い
今までは、
という不安が大きくて、
「もう面倒だから原則禁止」
とする会社も多かったのが実情です。
ここで、割増賃金の通算ルールが緩くなると、
- 残業代計算は「自社で働いた時間だけ見ればいい」方向に近づく
- 「じゃあ、副業制度を整えて人材を確保しよう」と考える企業が増えやすい
という流れが期待できます。
つまり会社員からすると、
副業OKな会社・副業制度を整える会社が増える可能性が高い
と見ておいてよさそうです。
H3:② 「自己管理できないとキツい時代」になる
ただし、良いことばかりではなくて、自己管理力が問われる時代にもなります。
- 残業代の通算ルールは緩む
- でも健康管理のために、合計の労働時間は見られる
- 長時間労働になりすぎる人には、会社から制限がかかったりする可能性
などが想定されています。厚生労働省+2厚生労働省+2
たとえば、
- 会社から「副業の内容と週あたりの時間を申告してください」と言われる
- 本業+副業の合計時間が多すぎると「副業時間を減らして」と指導される
- 連続勤務日数の上限や、勤務間インターバルのルールが強化される
といった運用が広がるかもしれません。
✅ 副業しやすくなる=「好きなだけ働いてOK」ではない
✅ 「健康を守りながら上手に副業する人」が評価される
こんな時代にシフトしていきそうです。
③ 「グレーな働き方」はよりやりづらくなる
今回の議論は、“ちゃんとルールの中で副業しよう”という流れを強くするものでもあります。
厚労省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でも、
といった方向性が繰り返し示されています。厚生労働省+1
なので今後は、
- 「本業は名目上フルタイム、でも副業でガチで夜勤」
- 「業務委託っぽくしてるけど、実態はフルタイム社員+残業」
みたいな“グレーな副業・兼業”は、ますます問題視されやすくなるはずです。
今から会社員がやっておくべき3つの準備
最後に、2027年を待たずにやっておきたい準備をまとめます。
① まずは「自分の会社の副業ルール」をちゃんと読み込む
改正の前提として、足元のルールは必須チェック。
ここを理解していないと、せっかくルールが緩んでも、自分だけ“アウト”な状態になりかねません。
少なくとも
副業がOKか/条件付きか/原則NGか
申請フローはあるか
は、このタイミングで一度ちゃんと確認しておくのがおすすめ。
② 自分で「総労働時間」と「睡眠」をモニタリングする習慣をつける
これからの副業時代で一番大事なのは、
「会社に守られる」から「自分で自分を守る」へのシフトです。
このあたりをざっくりでもいいので記録しておくと、
といった感覚がつかみやすくなります。
③ 「時間を売る副業」から「スキルを売る副業」へシフトする
労基法の議論全体を見ると、
- 勤務間インターバル
- 連続勤務日数の上限
- つながらない権利
など、「時間の切り売りを減らしていく」方向性が色濃く出ています。
これからは、
- 単発バイトでひたすら時間を売る副業より
- Web・デザイン・マーケ・AIツール活用などの
「スキルを売る副業」にシフトした人のほうが有利になっていくはずです。
サイドジョブラボとしても、
- 「稼げるけど健康を削る副業」ではなく
- 「キャリアも年収もじわじわ上がる副業」
を推していきたいところ。
まとめ|2027年の労基法改正は「副業しないリスク」が高まるタイミングかも
最後に、この記事のポイントをサクッとおさらいします。
だからこそ、会社員としては、
- 自社の副業ルールをちゃんと理解する
- 自分で総労働時間と休息をモニタリングする
- 「時間を売る副業」ではなく「スキルを売る副業」へシフトしていく
このあたりを今のうちから進めておくと、
2027年以降の“副業前提の働き方”にかなり強くなれます。


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